4.世界基準の日本語とは何か
欧米人は“以心伝心”をあてにしていないので、自分の考えを 赤の他 人に分かってもらうために、次のような言葉の表現の仕方をします。
根拠〔理由〕→ 主張
この 「根拠〔理 由〕」と「主 張」の二つは、常に厳密なセットになっているのですが、私たち日本人は、何も言わないか、言っても“以心伝心”をあてにし空気をよんでもらいたがる精神風 土がわざわいして、「主張」だけして「根拠〔理由〕」が欠けてしまいがちです。
例をあげましょう。デパート の玩具売場で子供が親に「おもちゃ!」と言ったとします。これは親子の関係でなら以心伝心はむずかしくないかもしれません。ただ正確を期すためには親は子 に聞くでしょう。「おもちゃがなんなの?」これはおもちゃがほしいのか見たいだけなのか二つ可能性があるからです。子供は言います「ほしい」。親「どれ が?」。子供「あれ」。親「どうしてあれがほしいの?」。子供「だってあれは新しく出たばかりの××だから」。親「新しく出たばかりのものはどうしてほし いの?」。子供「だってまだみんな持ってないし自慢できるもん」
以上の親の追究は子供の言葉 を“世界基準”にしたといえます。まとめれば、
〔理由〕あれは新しく出たばかりの××でまだ友達は誰もっていないもので自慢できるから── ↓ 〔主張〕ぼくはあのおもちゃがほしい! |
これに対し「おもちゃ!」の 一言は、親以外の他人に対し一体なにを伝えたことになるのでしょう?
ほかにも「フロ」とか「メ シ」とか、こういう以心伝心を前提とした言葉の出し方は、ウチの結びつきの強かった一昔前の産物で、人間同士のきずながゆるんでいる今や、これはごく限ら れた身内以外の赤の他人には通じません。またかりにこういう「主張」だけする人が英会話を習ったとしても、単なる英作文はできても、肝心な「根拠〔理 由〕」がない英語では、欧米人はそれを聞きとれても納得できないのです。
つまりまずあなたの日本語 を、“根拠〔理由〕→ 主張”という世界基準にしなければならないのです。
以心伝心型の日本語しか使え ない人たちは、今後ますます孤立を深めていくでしょう。赤の他人に通じる世界基準の日本語を身につける利点を、最後にあらためて まとめておきたいと思います。
- 言葉にできることだけがほんとうの理解。国語だけでなく、英語、社会、数学、その他理科系の教 科、あらゆる学習に対し高い効果がある。
- AO入試・推薦入試をふくめた大学受験の小論文は、結局「根拠〔理由〕→ 主張」ができるかどうかが問われるので、効果てきめん。もちろん私立大学や国立大学二次試験の記述対策にもなる。
- 大学入試の面接や、 就職試験の面接で、以心伝心型の日本語を使う人と、世界基準の日本語を使う人と、面接官はどちらを合格とするかは言うまでもな い。
- 社 会人となってからは、単に社内のレポートまとめやプレゼンテーションにとどまらない。常に社内外の以心伝心を期待できない赤の他人との対話力や 交渉力が、その人の社会人としての評価に大きな影響をあたえる。





